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孤独の東京

僕は東京が好きだ。

新宿駅で自分の小ささを、世界の広さを実感する。数分毎に電車が到着し、何千人もの乗客が乗降する。彼らは一体どこからやってくるのだろう、どこに向かっているのだろう。僕や他人のことは全く気にせずに改札口に向かって歩き、時には走っていく。駅で寝ている人がいても特に気にしない。ゴスロリファッションをした人がいても、もちろん気にしない。彼らは自分のことに集中している。

東京は他人を気にしないのだ。

だからこそ、僕は1人でラーメン屋に行くことができる。1人で映画館に行くことができる。1人で何でもできる。それは東京でなくてもできることなのかもしれない。だが、東京は1人でいることに対して何の差別もない。いろんな人がいて、彼らはいろんな生活をしているのだ。牛丼屋はもちろん、居酒屋にだって1人で行くことができるようになった。

1人で食事、といえば便所飯という言葉を思い出す。大学で1人で食事することに抵抗を感じ、トイレで他人の目を避け食事をするというものだ。新聞にも取り上げられ話題になったのは記憶に新しい。

僕の在籍していた東京の大学では、教室で1人で昼食をとっている学生というのは少なくなかった。学生の規模が大きく、いつも学食が人で溢れていたということも原因にあるかもしれない。だがしかし、僕はこう思う。東京という雰囲気が、彼らを1人で食事させることに何の抵抗も与えなかったのではないか、と。実際、僕は便所飯という話をその大学在籍中に聞いたことはなかった。学食がいっぱいであれば、コンビニで何か買って教室で食べる。外食ももちろん可能だ。

しかし、現在在籍している地方の大学では、教室で1人で昼食をとる人はほぼ皆無だ。これは衝撃だった。学生数が少ないというのもあるかもしれないが、それにしてもこれには驚いた。次第に僕は教室で1人で食べる昼食に抵抗を感じ始めた。便所飯はないが、昼食時になるとアパートに帰って食事をするようになった。

孤独という言葉にはマイナスイメージが大きくあるように思える。しかし、孤独の楽しみを知ってしまうと、決してマイナスイメージだけではないということがわかる。僕は孤独の楽しみを知ってしまった。だからこそ、孤独を守ってくれる東京が好きなのだ。