『ゼロの焦点』を観てみたよ!

新宿にて。初日。別作品を観るつもりだったのですが、満席だったのでこの作品をチョイス。1961年にも映画化されていて、テレビドラマも何度も放送されているという、松本清張の代表作の1つ。原作は読んだことない、というか松本清張自体読んだことないわけで。初松本清張な作品だったのですが、普通に楽しむことができました。中谷美紀の演技が迫力あって見応えありました。

好きな人のことを知りたい、と思うのは当たり前の感情だと思います。小学校時代はどうゆう人だったのか、過去にどうゆう人と付き合ってたのかなど。1つにその人の過去、というものがあります。相手の過去を知れば、その人とより一層深く結びつくことができる、そういったところでしょうか。

ですが、過去の日本社会において、相手のことをほとんど知らないままに結婚させられるということは少なくありませんでした。もちろん、今でも少なからずあるかもしれません。でも、それでも共に愛することは可能なんです。この作品において、広末涼子は夫のことをほとんど知らないままに結婚しますが、それでも夫に惹かれ、互いを愛することができたわけです。現代人の僕にはなかなかに理解し難いものではありますが、要するに人を愛することというのは複雑そうに見えて、実は案外単純だたtりするのかもしれないということです。

“パンパン”という言葉がこの作品では重要なキーになってきます。在日米軍の将校を相手にする娼婦たちのことを指す言葉です。当時の社会を表す上で象徴的なものですね。戦後の廃れた日本社会、貧困格差、女性の地位向上、日本を上手く表してるなぁとも思います。

観賞後、新宿の紀伊国屋に行ってみると新潮文庫版『ゼロの焦点』はほぼ売り切れてました。これが映画の効果なのかどうかはわからないけれど、ミステリー文学の名作といわれるこの作品、なんとなくわかる気もします。