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サザエさんはオワコンになったのか 〜日曜夕方6時からの社会考察〜

2011年11月27日放送分の『サザエさん 第6556話 「ママは天下の来々軒」』がやばい。「さすが我らが雪室先生の脚本、アホな展開ですね」では済まされないものがありました。

物語の内容

常にスタッフ募集の貼り紙を張るラーメン屋から、1週間だけ店を手伝ってほしいと頼まれるサザエ。その夜、波平やマスオに許可を得て早速仕事を始めることに。ラーメン屋の店主にとってサザエは幸運の女神ともいえるような存在で、カツオや波平たちにもチャーシューラーメンや餃子やビールを奢るほどのもの。
しかし、サザエがバイトをすることに賛成だったタラオも、やはり母親がいないことに寂しさを感じて早くバイトを辞めて欲しいと思っています。1週間経ち、ラーメン屋の店主はまだサザエに店を手伝ってもらいたいけれども、「ママを返してやらなきゃな」と言って嘘をついてまでしてサザエをそこで帰らせることにしたのです。サザエと一緒にいる喜ぶタラオを見て、めでたしめでたし。
「カツオ△」「( ;∀;) イイハナシダナー」「ラーメン食いてー!」「雪室先生マジバロスwww」「タラヲ氏ね」等、いろいろな意見があると思います。が、よく見てみるとおかしな点がいくつかあります。

サザエさんにおける家父長制

まず1つ目。たかだか1週間の臨時スタッフのために、どうしてサザエは波平やマスオに許可を貰わなければならないのか。マスオは「1週間だけなら…」と言い、波平はドヤ顔で「よかろう」などと言います。もちろん、家族に報告して承諾を得ること自体は不思議ではありません。ですが、この波平の態度は何様のつもりなのでしょうか。全くもって不愉快極まりない。
ここから読み取れることは、サザエさんという作品内では未だに性別役割分業を基礎においた家父長制の名残が見受けられるということです。実際、サザエさん一家においては波平とマスオが経済的支柱にあり、フネとサザエは家事に従事しています。そして、波平の大黒柱的存在は異常です。「Back Come On!!(いわゆる、バカモン!と怒鳴りつけるアレ)」と一声出せばサザエもカツオも一瞬にして小さくなってしまいます。

母子家庭批判

さらにもう1つ。それは最後にラーメン屋の店主の言葉、「ママは返さなきゃ」です。これはつまり、母親は子供と一緒にいるべき、という論を展開させています。ラーメン屋の店主の奥さんが子供を背負って仕事をしている描写からも読み取れます。
非常に遺憾です。怒りすら覚えます。明らかなる母子家庭批判です。社会では、子供を育てながら仕事をする女性はたくさんいます。その女性の全てを否定するようなものです。彼女たちの中には仕事と子育てを両立させ、一生懸命に生きている人もいるのです。それを否定していいのでしょうか。

過去を懐かしむとは

皆さんが知っているようにサザエさんは国民的作品の1つであります。そんな全国民に親しまれ、愛されている作品が社会に与える影響は計り知れないものがあります。EDが流れると「明日はもう月曜日か…」と憂鬱になってしまう、いわゆるサザエさん症候群は周知の通りです。
1946年、終戦直後に連載開始された作品です。時代背景等考えると、それは間違ってはいない(いなかった)ものでしょう。しかし現代において、どうしてここまで徹底された家父長制物語を演じさせる必要性があるのでしょうか。
サザエさんと同様に昭和社会を映し出す作品は、前枠でもあるちびまる子ちゃんも同様です。日曜午後18時から19時のフジテレビは、懐かしき昭和の風景を、昭和の良さを描いている作品を放送しているわけです。ですが、過去を知ることと過去を懐かしむことは違います。ちびまる子ちゃんとサザエさんはこれからも変わらない昭和を僕達に見せ続けることでしょう。ずっと、何も変わらない過去を。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』より、風間くんの台詞を書いてこの記事を締めたいと思います。

「懐かしいってそんなにいいものなのかなぁ」