中央線沿線のとある居酒屋

先日、高校の友人と久しぶりに会う機会があった。その友人は今年から東京の大学に通っているということで、学年的には僕と2つ違う1年生だった。東京にも馴れてないらしく、僕が新宿を案内するという形になった。もちろん、彼が新宿駅で迷ったのは言うまでもない。

適当な居酒屋で軽く食事とアルコールを飲んだ後、まだ時間もあり飲み足りないということで、僕らは中央線沿線のとある居酒屋に足を運んだ。僕はその居酒屋に以前から行ってみたいと思っていたのだが、如何せん学生1人で居酒屋に入るのには勇気が必要で行かずじまいだった。

店内に入ると、タバコと焼き鳥の煙が混じっていて昭和の匂いを思い出させるようだった。2?4人用の机はもちろん、中型の円形の机もあった。そこには50歳くらいのおじさんが1人で酒を飲んでおり、おそらく1人用の机なのだろうと思う。なかなか気を利かした居酒屋だ。店の外にも席が用意されていて、ビールケースのイスや使い古された木製の机などだった。下町の居酒屋とでも言うべきか、昔懐かしの風景というようなものだろう。流れている音楽は80年代の歌謡曲で、これもまたどこか懐かしいような気分にさせてくれる。

僕と友人は焼き鳥を食べ、ビールを飲んだ。焼き鳥はさすが看板メニューにしてることだけあって、チェーン店で食べるような焼き鳥とはどこか違うような気がした。味付けはどちらかというと濃味よりも薄味で、偶然にも僕の好みに合っていた。店の雰囲気が料理の味も変えてしまうのだろうか。

焼き鳥を肴に、友人との会話も盛り上がっていった。高校の頃の恋愛話、同級生の誰々が結婚した、あいつも今東京にいるなど。昔の友人と話すのはやはり楽しい。共通の過去とその話題があるからなのだろう。終電が迫っていることを知り、最後に僕はハイボールを飲んでその日は解散した。

アルコールは体に悪い、よく言われることだ。それを承知で僕は酒を飲む。なぜなら、酒を飲みながら友人と他愛のない話をすることが僕の人生において必要不可欠なことだからだ。良い居酒屋を発見するのもまた然り。家で飲む酒より店で飲む酒が美味しいのは、たぶん酒に飲まれる環境が整っているからだと思う。楽しく飲める酒が美味しくないわけがない、僕はそう思うのだ。

今日も僕は友人と居酒屋に行って、いつものように馬鹿な話をするのである。