アイルランド語学留学の実状

いろいろありましたが、アイルランド留学生活は7ヶ月を突破し、残るは1ヶ月だけとなりました。実際に日本を離れて海外で暮らしてみると、今まで以上に日本という国について深く考えることが出来、とても貴重な体験になっていると思います。というか、日本にいたときよりも日本が好きになった!もちろん、アイルランドも好きだけど。

さて、僕は語学留学という形でアイルランドにやってきました。私設の語学学校にて英語を勉強する、という留学です。一般的な大学留学とは異なり、かなり緩い感じになってます。とまぁ、こういった辺りの理解はあるのでしょうが、この語学留学というのがなかなかに多くの問題点を含んでいます。

ネイティブとの交流が極端に少ない

なんといっても、語学留学の最大の問題点はこれ。ネイティブ、例えば僕はアイルランドに住んでいるのでアイルランド人ということになりますが、彼らとの関係の構築がとても難しいということです。

もちろん、ホームステイなどでは、実際に現地の人と共に暮らし、彼らの生の英語に身近に接することができます。しかし、それはあくまでもお世話になっている間柄であって、あまり深い交流はできないというのがあります。確かに、ホームステイ先の人々によるのでしょうが、全てのホームステイ先がこちら側にとって良い環境であるとは限りません。僕自身、アイルランドに来て最初の2ヶ月間はホームステイをしていましたが、当時は英語がほとんど話せなかったということもあり、またホームステイ先の家族構成等があってなかなか打ち解けることができませんでした。

また、英語を学ぶ語学学校に通うため、そこで出会うのは各国からやってきた留学生ということになります。友達はいろんな国の、母国語が英語以外である人々です。これも、ネイティブの人との交流を妨げているかもしれません。まぁ自分からパブに行ったりして、現地の人と話すってのもありますけどね。

英語を勉強しない?

これはまさしく人それぞれ、といったところですね。まぁしかし、語学留学は大学留学と違って大量の宿題があるわけでもなく、論文を書いたりするようなこともありません。そして、大半の語学留学は午前中だけで授業は終わり、午後は完全フリーとなります。その時間を勉強に当てる人もいますが、多くの学生は旅行などの観光をします。これはアイルランドの僕の街の話になりますが、僕の街は欧州からの留学生が多く、彼らは1ヶ月以内といった短期留学、ホリデー感覚の留学生たちであるから、と僕は考えています。

例としてスペイン人。スペインでは3週間の語学留学については政府がその資金を全面負担する、というシステムがあります。そのため、特に僕の街はスペイン人留学生が多く、また彼らはいつもスペイン人同士でスペイン語で会話をし、英語はほとんど話しません。こういった環境が普通となっているため、「留学中は母語に触れない!」といった機会を失っているようです。

人間関係での苦しみと葛藤

先程述べたように、例えばスペイン人は3週間の短期語学留学が政府援助により無料であることから、それを利用して留学する人がほとんどです。そして3週間が終われば本国へ帰国する、といったような感じ。また、欧州からアイルランドへ留学しに来る人も多くが短期です。

対してアジア人は比較的長期で留学しに来る人が多いと思います。そのため、欧州の人と仲良くなっても彼らはすぐに帰ってしまい、また新しく友達をつくらなければならない、となります。僕の場合は友人に恵まれたのか、結構すぐにいろんな人とも仲良くなれて人間関係にはほとんど不自由はありませんでした。ですが、そうでない方もいらっしゃって、なかなか留学生活に適応できていないようでした。まぁ稀ですけど。

もう1つ、日本人特有の問題に、英語を話さないというのがあります。先日、とあるアメリカ人女性に会ったときに「日本人は全然話さないわよね。下手でもいいから話す努力をしないと」とおっしゃってました。全くその通りで、僕も最初の頃は自分の英語に自信がなかった、という以前に英語力がなかったですし、そういう理由で全然話そうとしませんでした。だから友達もできず、いつも孤立、もしくは同じアジア人の韓国人とばかり話すなど。英語力のない欧州人でも、彼らはすっごくデタラメな英語で話しかけてきます。でもそれでも全然通じるのですから、もっと積極的に自信を持って日本人は英語を話すべきだと思うのです。

英語とグローバル化

アイルランドでは中国人は私設の語学学校へ通うことが出来ません。学生ビザの申請が通らないからです。また、日本人がアイルランドで学生ビザを取得するのも非常に面倒でややこしいシステムになっています。最近の記事ですがこんなのがあります。

中国風英語「チングリッシュ」、アジア大会の悩みの種 国際ニュース : AFPBB News

なんだかんだ言っても、英語は世界の標準語的なものであると僕は思います。だからこそ、アイルランドなどの英語が公用語である国は、英語を学ぶ留学者に対して寛容になるべきではないのかなぁと思います。確かに現在、アイルランドは経済的に危険な状態であることはわかります。イングランドのロンドンにおいても、移民者を制限する方針になっていると聞きます。就労という問題が関係してくるので一概にそれを批判することも難しいのですが…。

留学生を含めた移民というものを考えていくことが重要だと思うのです。15世紀に始まったAge of Discovery、いわゆる大航海時代から約500年ちょっと。世界は人、衣食住、情報など全てのものがグローバル化しています。移民とはなにか、人間とはなにか。改めて考えさせられています。