深夜3時半のコンビニ

僕はコンビニで夜勤アルバイトをしています。昨年の4月から始めて、もうそろそろで1年働いていることになります。夜のコンビニというのは不思議な空間です。都会ではなく、周りを山で囲んだ田舎のコンビニなので、それほどお客さんがたくさんいらっしゃるわけではありません。深夜の3時頃は1時間に5人程度しか来ないわけです。

12月、とても冷え込んだ夜で気温はマイナス5℃にまで下がっていた日でした。僕の勤務する店舗では3時からは1人シフトとなります。お客さんも少なく、残った仕事を順調にこなしていた3時半。とある男性のお客さんが来店しました。とりあえず防犯上の理由も含めてなるべく大きな声で「いらっしゃいませ」と声をかける。

自分の仕事をしつつ、お客さんを気にかけます。ジュースを買い、カップ麺を買い、お菓子を買い、スイーツを買い・・・。見てるだけでお腹が空いてくるほど大量の品をカゴに入れていきます。1つのカゴでは収まらなくなり、さらにカゴを追加。お弁当やおにぎりやパンをどんどんカゴに詰め込んでいきます。

お客さんがレジに向かったので、僕も急いで戻る。1つ1つ、商品のバーコードを打ち、ようやく1つのカゴ分が終わった時にまたお客さんが来店しました。目の前のお客さんで目一杯だったので、その来店したお客さんを気にする余裕なんてありませんでした。しかし、チラッと見るとどうも僕たちを見ているようだったのです。確かに深夜の3時半にこんなに大量に商品を買っていくお客さんは珍しいです。だからこそ見ていたのかもしれませんが、なんというかジッと見られているような感じでした。

目の前のお客さんもそれに気付いたのか、少し気にするような感じでした。まずは目の前の大量の商品を捌くことに集中して、約3分くらいでしょうか、ようやく全部の商品のバーコードを打ってお会計をしました。商品を詰め込んだ袋4つをお客さんに渡し、「ありがとうございました」と僕は言いました。

先ほどのお客さんはどこにいったのだろう、レジに全神経を注いでいたのですっかり忘れていました。ドアのチャイムが鳴らなかったのでおそらくまで店内にいるはず。しかし探してみるもお客さんはいませんでした。トイレだろうか、と僕は思い、残っていた仕事をやるために持ち場に戻りました。

4時になってようやく仕事が終わって、でも先ほどのお客さんはトイレから出てきません。この時点でわかるとは思いますが、お客さんは店内にはいませんでした。ドアのチャイムが鳴らなかっただけで出ていったのかもしれません。その時はそう考えたんです。

後日、お店の防犯カメラをチェックしました。どうしても気になっていたのです。当日のデータを見て気付きました。確かにお客さんは来店していて、外に出てはいなかったのです。それどころか、ちょうどカメラの死角となっているところでお客さんはいなくなっていました。そこはトイレの目の前です。でも僕は4時に仕事が終わった後にトイレ掃除をしたのです。もちろんそこにはお客さんはいませんでした。

結局、見間違えということになったけど、今でも夜勤中はこのことが気になって仕事が進まない日々があります・・・ということをオーナーに言ったら、仕事しない言い訳をするなと怒られました。全くです。